コロナ禍での試合の仕方(鍔競り合いについての暫定ルール)
11月~12月にかけ、新型コロナウィルス感染症対策を目的として全日本剣道連盟 試合・審判委員会が各地で研修会を開いています。私の地元でも先日、研修会に参加された先生からの講習を受けました。当面の間、この方法が重要なものになりますので忘備録として記載します。コロナ禍での新たな鍔競り合い(”暫定的”な試合・審判法について)
概要
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◆【重要】鍔競り合いの変更点
◆試合者ファースト
◆正しく分かれないと「反則!」
◆追記:八段大会決勝戦でも
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◆【重要】鍔競り合いの変更点
大きな変更点:・試合中に、鍔競り合い(※)をしない。
(※)つばぜり合い/鍔迫り合いとも表記される
・選手同士が速やかに分かれ、間合いを切る(剣先を切る)
・分かれ際、間合いを切る前に打ったものは有効にしない(鍔競り合い直後の打突のみ有効)
鍔競り合い |
これは審判が分かれをかけることなく選手同士が自主的に分かれ、正しい間合いで勝負する場面を作り出して、剣道で最も選手同士が接近し飛沫感染の可能性を極力防ぐための目的で行うものです。
自主的に分かれて鍔競り合いをさせないことを以下のルールで定め、守らない場合は反則をとることで強制力を作り出します。
「鍔競り合いになった直後の引き技は有効とするが、相手が引こうと(分かれようと)しているところをもう一方が攻めて打った場合はこれを有効打突としない」
又は
「鍔競り合いから分かれる途中、剣先が触れていて縁が切れていない状態で攻めて打った場合も有効打突としない」
◆試合者ファースト
・審判は極力、分かれをかけない!・試合者が自ら分かれる意識を!
審判が分かれをかけると、試合者が分かれがかかるのを待ってしまい「分かれ待ち」が発生します。また、「分かれ」「はじめ」が繰り返されてしまい試合進行が円滑に進みません。
今後は、鍔競り合いのルールは大会の申し合わせ事項で大会ごとに定めるため都度運用が若干変わりますが、基本は2つのケースとなりますので理解が必要です。(特に小学生低学年は親御さんがかみ砕いて説明をお願いします)
●初回「指導」2回目以降「反則」となるケース
●最初から「反則」とするケース
・分かれ際、縁が切れる前に一方が打突(前へ攻める/引技ともに)した場合は有効打突としない。
◆正しく分かれないと「反則!」
・剣先が完全に切れるまで分かれる。「縁を切る」・分かれ際、縁が切れる前に一方が打突(前へ攻める/引技ともに)した場合は有効打突としない。
感想
私の地元では先日の道場連盟の研修会で分かれをかけない試合進行を選手も審判も研修し、実践しました。これにより選手同士が自主的に分かれ、間合いを切った状態から攻めて勝負をする非常に良い試合進行となりました。
今後、スタンダードなルールになるのではないか?と審判の先生方も話していました。
やむを得ないルールですが、このルールに則って頑張っていくと正しい剣道で攻めて勝つことができる「良い剣道」ができると思います。前向きに頑張っていきましょう!
◆追記:八段大会決勝戦でも
令和3年(2021年)04月18日に開催された第19回 全日本選抜剣道八段優勝大会の決勝戦でも暫定的な試合・審判法による反則が取られる場面がありました。
以下の写真は栄花 英幸先生(赤)が竹刀を落とした場面ですが、合議の末反則が取られたのは鍋山 隆弘先生(白)でした。この場面では『鍔迫り合いから間合いを切る前に鍋山先生(白)が竹刀を払ったこと』が反則として判断されました。結果としてそれにより竹刀を落としたものなので栄花先生(赤)は反則とはなりませんでした。